段階② 使い分ける / 3分で読めます
仕事は2種類しかない ― 当たりを引けばいい仕事と、一度も外せない仕事
「すごい提案書を書いてくれた」と「100件で3件落とした」が、同じAIから出てきます。矛盾ではありません。測っている物差しが違うだけです。
つまずき:難しいことができるのに、簡単なことでミスをする
企画のたたき台を書かせたら、若手より上手かった。それなのに転記では抜けが出る。人の新人ならあり得ない順番なので、「わざとか」「やっぱりAIは駄目か」と思ってしまいます。
考え方:上限で測る仕事と、下限で測る仕事
仕事を2つに分けます。
1つ目は、当たりを引けばいい仕事(本では「クリエイティブ業務」と呼んでいます)。企画、たたき台、分析の切り口、文章の下書き、調べもの。10案出して9案が駄目でも、1案良ければ成立します。外れは捨てるだけで、誰も謝りません。いちばん良かったもので測られます。
2つ目は、一度も外せない仕事(同じく「オペレーション業務」)。請求、給与、名簿、在庫、転記、送付先、日程。99件が完璧でも1件違えば事故です。外れは捨てられず、探して直して、誰かが謝ります。いちばん悪かったもので測られます。
AIは、次に来そうな言葉を候補の中から引いて、答えを組み立てています。言葉を1つ出すたびにサイコロを振っているようなもので、だから毎回少し違う。この性質は、当たりを引けばいい仕事では味方です。振り直せば別の案が出る。一度も外せない仕事では敵です。いつか、悪い目が出る。
つまり、人とAIでは得意なことが逆です。人は決まった手順で同じ答えを出すのが得意で、案を100個出すのは途中で枯れる。AIはその反対です。あなたが人の新人にしてきた「まず簡単な仕事から」は、AIにとっては不得意な側から入る順番でした。
だから、問いが変わります。「このAIは優秀か」ではなく、「この仕事は、上限で測られるのか、下限で測られるのか」。人を見て仕事を振るのではなく、仕事を見て渡し方を決めます。
今日からできること:渡す前に、声に出して分ける
1つの仕事の中にも、両方が混ざっています。チラシなら、文案は当たりを引けばいい側、日時・会場・申込URLは一度も外せない側。数字・日付・名前・URLの4つは、文章の出来がどれだけ良くても、必ず一度も外せない側に入れてください。渡す前に「これは、どちらの仕事か」と工程ごとに一言つぶやく。AIに何も教えなくても、それだけで渡し方が変わります。

続きは、本2『AIが部下になったら読む本』の3章「核 ― 人とAIでは、得意なことが逆です」で。
本2『AIが部下になったら読む本』
Kindle で読む